郵便局のゆうパック仕分けバイトの実態と対策
郵便局の「ゆうパック」の仕分けバイトをこれから始めようと思っている方向けに、生のデータと共に実態を紹介します。ここで働こうと考えている方のために対策や心の準備、心構えのほか、ありがちな問題をまとめて紹介します。社会を回すのに欠かせないインフラ業なので、自信と誇りを持って頑張ってください。
1日の作業の流れ
各地域、郵便局の大きさによって変わると思いますが、だいたいの流れは以下の通りです。
- 各自装備準備&ミーティング&準備運動
- 各レーンの準備や冷蔵エリアの手伝い
- 優先度の高い「重量物」や「中程度の重さの荷物」の仕分け&積み込み
- 優先度の低い一般の「中程度の重さの荷物」や「軽量物」の仕分け&積み込み
- 残存物や仕分け忘れチェック
- 片付け・掃除・次の現場の準備
- 積み込んだパレットの移動
上記、箇条書きの「3」と「4」を繰り返し、途中休憩も挟みながら約3回~4回ほど行います。実務として覚えればいいのは以下のものです。
- 冷蔵物の保管庫の準備・手伝い
- 荷物の仕分け
- パレットの操作と移動
それ以上の内容は勤務年数が長くならないと任されないので最初は考えなくて大丈夫です。
重量物の種類(例)と重さの目安
優先度の高い荷物が、時間指定で優先度が高いのか、郵便局的に企業と契約しているから優先度が高いのか知りませんが、基本重いものが大量(1度に20個前後)にあります。
- 20L前後の水
- 2000枚~2500枚の印刷用紙
- 大量のはがきなどが詰まった箱
- 15kg~30kgのお米(そこまで多くはない(時期による))
優先度が高く、重いものは1つ、または、2つのレーンに分かれて複数人で協力して作業します。だいたい重くても20kg~24kgなのですが、これを2mほど運んで載せる作業を複数回(10回~20回)繰り返すのが地味に筋肉的に大変です。
作業の割り当て・作業量・作業時間
実働7時間で、ずっと重量作業をするのではなく、毎回作業の量と時間(実際累計90分程度・各15分前後)が決まっています。慣れてしまえば単なる単調作業ですが、慣れるまでが大変です。
- 軽度の準備:1時間ほど
- 重労働:1時間30分ほど
- 軽量仕分け:3時間ほど
- 軽度の片付け:1時間ほど
準備や片付けで2時間、軽度の仕分けで3時間ほど、重量物の扱いがせいぜい1時間から1時間半程度で体が慣れてしまえば重いものはそんなにきつくなく、筋肉痛にもならなくなります。
注意力が超重要になる
筋肉を使用するのはもちろんなのですが、それよりも重要なのは要領の良さと注意力です。間違った所に積まないための注意力、荷物の番号を見間違えないための注意力が欠かせません。
間違って積み込んで気づかないでいると「誤配送」となってしまい、バイトの立場では叱られることはほぼないですが、あんまり良くはないので、できるだけ「誤配送」を起こさないほうが良いです。
筋肉と体力が足りなくて大変で作業が遅くてもいいので、「誤配送」を起こさない方が重要です。注意力が想像以上に必要です。
筋肉的(上腕二頭筋)に慣れてしまえばなんとかなる
重い荷物以外は、指でつまんで持てるものから片手でつかめるもの、両手が必要だけど女性でも軽々持ち上げられるものです。2時間から3時間くらいはそんなに重くない中程度のものから軽量のものを仕分ける作業(ほぼタワーディフェンスゲームや「Overcooked2」みたいな感覚)です。
重い荷物も1日に作業する限界があるので、筋肉的に慣れてしまえば身体が覚えてそれほど苦痛ではなくなります。
それでも疲労は蓄積していくので、都度筋肉をマッサージしたり、都度休めそうな瞬間に筋肉を休ませてやる必要があります。
積極的に仕事を覚えた方がいろいろ楽になる(メンタル的に)
ある程度、社会人経験があり、仕事経験がある人ならあんまり苦痛になることはないです。
- 先輩やリーダー、周囲の動きを見て真似る
- はきはきとした声で喋る
- 指摘に対して謝罪とお礼をちゃんと言う(すみません、ありがとうございます等)
- 分からないことは適宜聞く
- 目を見て話す
- 具体的にYes/Noで回答できる質問を投げる
- 失敗やミス、アドバイスはすぐ学んで努力する様子を見せる
- とにかく動く、何かしら動く(用事がなくても)※じっとしてるとサボってると思われるので
- 仕事は仕事、時給以上の仕事はしないこと(ビジネスなんだから当たり前)
最低限バイトとしてやるべき仕事ができていれば問題ありません。自分の担当したレーンを回せて、あちこちちょっと手伝いができれば十分です。自分の受け持ちの仕事を優先し、時給以上の仕事はしないという感覚は大切です。
さっさと仕事を覚えれば、先輩からの小言や指摘、注意の回数も減ります。仕事さえしていれば文句は言われないので上手にのらりくらり、バランスよくうまい具合にこなし、かわすスキルもかなり活きます。
応募&面接から仕事開始までの流れ
現場に入るまでにいくつかのステップがあります。コンビニバイトとかとはちょっと異なる手順があります。
- 電話またはネットから応募
- 面接(20分程度)
- 採用通知(1週間から2週間)※電話で採用連絡来て、書類は1週間程度
- 動画を見る研修1回(AM約9時~PM約5時:時給発生)
- 初日に装備チェック等少しあり
応募から現場初日まで約10日程度かかりますが、人によっては2週間程度かかるかもしれません。採用通知を受け取ってから、さまざまな書類を書いて提出することになります。誓約書とか、労務・税務関係とか…。
福利厚生というか、源泉徴収とか厚生年金とかそういう関係のはかなりちゃんとしています。
開始1週間で負傷した部位(1週間で慣れた・治った)
開始1週間で負傷したのは手の指の深爪、前腕と両膝のあざ、靴擦れしかけた所くらいでそれ以外はほぼ腕の筋肉痛です。
- 上腕二頭筋の重度筋肉痛
- ふくらはぎの筋肉痛
- 前腕の筋肉痛
- 広背筋の筋肉痛
筋肉痛はアミノバイタルやプロテイン、湿布を使用して痛みを抑えつつ、筋肉を育てていけば慣れます。早ければ1週間から2週間で身体の「筋肉的」な苦痛はあまり感じなくなるはずです。力の抜き方や痛くない持ち方もそれくらいで身についてきます。
郵便局のゆうパックの仕分けバイトがきついと言われる内容の90%はこれです。筋肉疲労、立ち仕事の疲労がきついと言われるようですが、筋肉的に慣れてしまって、流れを身体で覚えてしまえばきつさが30%くらい(ほぼ筋肉疲労はなくなる)になります。
歩数・運動量データ(ヘルスケアとOMRON connect)
歩数は1日9000歩前後~13000歩前後になります。歩くだけで、無理やり走らされるようなことはないです。歩くペースもそんなにきつくないです。
総カロリー消費は平均2,300kcalくらいです。お金を払ってジムに筋トレに行くよりも良いですね。
脂肪燃焼量は1日40g前後で、筋肉が多い人、食事管理のできる人は1ヶ月で1kgくらいは脂肪を削れそうです。
運動によるカロリーは約800kcalで、お金を払ってジムに行くよりはお得ですね。
移動距離は1日累計8km~10km程度相当、歩数は1万歩前後です。
この運動量に耐えられる程度の体力の持ち主なら、最初の1週間程度の上腕二頭筋の筋肉痛だけで済みます。運動部でゴリゴリ鍛えている方なんかはあんまり筋肉痛にもならないと思います。
日によってやたら歩く時とそうじゃない時があるのはいいとして、実働7時間あれば7時間は立ち仕事(重労働(20kg前後)は1.5時間程度)です。
パワハラや上司との関係
基本的に郵便局の「ゆうパック」の仕分けの現場は、筋肉的に耐えられない人が多い(時給の割に筋肉を使う仕事が多い)ため、常に人手不足(安定して仕事があるとも言える)です。そのため、1年、2年どころか8年、10年とバイトしている人もいます。バイトリーダーが現場を仕切っている場合は10年近くやっているベテランだと思ったほうが良いです。
バイトリーダーなんかはいつ行っても「現場にいる」ので多少時給が上がっているとは思いますが、とにかく疲れています。新人が入ってもすぐにやめていく様子を何度も見ており、とんでもなく疲れているので言葉遣いもちょっと荒くなり(名前を呼ぶことすらできない)、クッション言葉なんかは使っていられない様子です。
- 社員や管理職・事務職はちゃんとホワイトで優しい
- バイトリーダーは疲れ切っているだけ
- 言葉遣いは荒れてても注意内容は単なるアドバイス(言ってくれるのは優しさ)
- できてない時だけ指摘が入る(他ができていれば何も言われない分、気になる人もいるかも)
- バイトリーダーが人見知りっぽい
- 会話慣れしてないベテランが割といる
- 超フレンドリーなバイト戦士もいる
- 過去の暴力やパワハラがあった時代を教えてくれる先輩もいる
昔、古い時代は軍隊みたいな厳しい環境があったようですが、今はかなり改善されていて、一般バイトの横&上下のつながりで嫌なことはほとんどないです。それでなくても全員筋肉的に疲弊するのに、パワハラや人間関係の悩みなんか作りたくないという感覚で、そんなひどい状態にはないです。
また、いつでも人手不足なので仕事のできる人物、長く続けられそうな人物をパワハラや暴言、ハラスメントなんかで失うと困るのは現場に残される自分たち(先輩やリーダーたち)です。そのため、最低限の仕事をしていれば、そんなに厳しくきつく言われるようなことはないです。
この仕事のメリット・社会的意義
映画「ラストマイル」でも少し触れられていましたが、物流インフラの一端を担う重要なインフラ業(郵便局の仕分けバイト)ですが、時給はかなり低いです。筋肉労働だからなのか最低時給ギリギリくらいでやることになるので、作業内容が耐えられない人は続けずに早めに撤退したほうが良いです。
- 物流インフラを直接支えられる
- お金をもらって筋トレができる
- 全国・地域に社会貢献できる
- 福利厚生が充実している
- なくならない仕事なので経験があれば有利
- 接客業の20分の1くらいしか喋らない(最低限の連携・あいさつ・雑談程度)
- 担当レーンでは基本1人黙々と作業(多くて2人、3人)
- ノルマ無し・自爆営業なし・派閥やしがらみなし・変な客なし・クレーム対応なし
- バイト同士の馴れ合いなし・仕事以外の変な付き合いなし
- 頭脳よりパワー(筋肉&マッチョは正義)
- タワーディフェンスゲームが好きな人には天職
- 負荷(筋肉的)が好きな人には天職
この仕事をする人がいなくなったら、みんなは荷物を送れなくなり、受け取ることもできなくなります。遅延は当たり前になり、人手不足になれば現場は超疲弊(安い時給だし)して荷物のダンボールには傷がつき、中身が破損しやすくなります。
この仕事をしている人がいるから、会社間の荷物が届き、命の糧となる飲み水や食料が届き、超重い印刷用紙などが事務所に簡単に届きます。こういう仕事はインフラ業といいます。今ではコンビニも社会インフラの一つです。
世間では物流バイトやコンビニバイトは底辺と言われることもありますが、真逆です。お金持ちが筋肉を使わずにネットショップで買い物して荷物が届くのは物流に人がいるからで、みんながこの仕事(郵便局の仕分けバイト)をやらなくなったら荷物は届かなくなります。きっと誰かがやるだろうと放ったらかしにしていると、長年経験を積んでいるバイトも身体を壊して現場に出られなくなり、詰みます。
誰かがやらなければいけない重要な仕事(郵便局の仕分けバイト)なので社会的意義も責務もかなり大きいです。みんながやりたくないと思うような仕事は、長い間なくならない仕事でもあります。イマドキ、年齢的にも条件的にも仕事が見つからない人も多いので、安定して仕事があるだけありがたいものと考えましょう。
仕事がない心理的ストレスに比べるとだいぶマシ
ある程度の年齢で、仕事がない状態はかなり精神的なストレスになります。接客業や事務作業、頭脳労働できるならそういう仕事でもいいですが、フリーランスや自営業は仕事が見つからなければ次の月の生活もきつくなり、精神的に不安が大きくなります。
いつ仕事がもらえるか分からない状態でもがき苦しんで、単発の安い仕事を受けるくらいなら、毎回やる作業が決まっていて、単純作業で流せる仕事(郵便局の仕分けバイト)があったほうが安心です。
個人事業主では全部自分で責任を持ってやらないといけないですが、バイトの立場では責任にも限度があります。時給以上の仕事(担当じゃない仕事)を求められたらアウトですし、総務に通報すればいいだけです。安定した流せる仕事があって、責任はそこまでなく、コミュ力がなくてもこなせる仕事であれば、筋肉以外はかなり安心です。
この仕事の辞め時について
仕事(郵便局の仕分けバイト)を続けていて、精神的に辛くなったらすぐにでも辞めるべきです。体力的なキツさはどの立ち仕事でも同じようなものなので、筋肉疲労だけなら辞める理由にするのはもったいないです。
一人でひたすらと荷物を仕分けて積み込みする作業が耐えられなくなったら、即座に辞めるべきです。退職の2週間くらい前には伝えないといけない等の規約があるので、早めに決断してすぐに総務部なり、直属の上司に確固たる意志を伝えて、できるだけ早くやめましょう。もしくは医師からの診断書をもらってすぐに辞めましょう。
目標を決めて働くのが無難
いくら貯金したいとか、どんな経験を積みたいかとかをよく考えて辞め時を見つけておきましょう。契約の更新のタイミングがあるので、更新の時期までは続けて辞めにするか、無理そうなら研修期間できっぱりやめましょう。
人間関係の悩みがなく、筋肉的に慣れてしまえば継続しても良さそうですが、独自のスキルになるかというとならないです。覚える作業に上限があり、あとは同じことの繰り返しの毎日で、ほぼ惰性で働くことになります。
20代から40代までこの仕事しかしてこなかったら、もうほかの現場に出るのは無理かもしれません。転職をしようにも世間的に求められる一般的なスキル(IT技術やコミュニケーション)に達していない場合があるので、働ける現場が変わったら、誰でも使い物にならなくなり、ゼロからスタートになります。
別のスキル・実績を自分で磨き上げたほうがいい
荷物の仕分けの作業は、世間一般のIT業務や資格が必須な作業ではなく、ある程度経験を積んで、筋肉さえあればできる仕事です。
常に仕事があって、安定して仕事のシフトに入れて、業務難易度も上限があって、人間関係もそこまで大変ではないですが、それだけ誰でもできる仕事と判断されます。プログラミング言語を数年かけて学んでいないとできない仕事でもない、数十万円の資格や免許を必要とするわけでもない、即座に火事や化学やけどにつながる薬品を扱うわけでもない、ミスったら人が死ぬ医療の仕事でもない、直接クレーム対応や暴言を浴びる仕事でもないです。
仕分けの仕事をしながら、他のスキルや実績を身に付けないと未来がかなり絞り込まれてしまいます。空いている時間にYouTube動画や配信を頑張るとか、ブログ記事を頑張るとか、インスタアカウントやTikTokアカウントを伸ばすとか、電子書籍を執筆するとか、ちゃんと資産につながる積み重ねをしましょう。
現場で放置されている問題
こういった現場によくあるのがコストカットや雑な扱いです。
- 資材や装備が壊れたまま放置されている
- 古いやり方がそのまま続けられている
- 新人教育プログラムがなく、バイト間の指導と慣れに丸投げ状態(異常な状態)
- 機械のメンテナンスや整備が不十分
- 軽微なケガは保証されない
- 人手不足なのにコストカット(低給)で人員をギリギリに抑えている
- 労働内容があとから変更・追加される(異常な状態)
- 当日欠勤はNGとされるのに当日無断強制残業はまかり通る(大問題)
- 新人いびり的な慣習がある(早めに相談した方が良い)
- スーツ組は作業現場に入って手助けしない(信頼度的に問題)
特に問題なのは、古いやり方で、非効率的な作業がそのまま継続されていること、機械や資材が壊れていてもそのままになっていることです。常に自転車操業みたいな状態で、安い人材で無理やり現場を回している状態です。必ず事故が起き、大きな問題が起きないと改善されない悪質な状態でコンプライアンス違反です。
また、新人教育プログラムが組まれておらず、どんな手順で育成するか、決定されていません。どこの会社でも同じですが、中小企業はまともな訓練体制がありません。見て学んで、慣れろというスタイルで、その感覚が当たり前になっているのは既に頭がおかしい状態(時代遅れも甚だしくSDGsでもない)です。
教育プログラムがなければ、属人的になって現場が急に回らなくなるリスクが常にある状態です。この属人的になっている状態がやばいと思えないならば、その時点でその人物に再教育が必要です。
正社員ではないバイトが、階級がほぼ同じのバイトを育成するというのも実は結構問題があります。軍隊で言えば、新兵が新兵を教育しているようなものです。
異常は言わないと直らない
この仕分けバイトに上にあるような要素が全てあるわけではないですが、現場によってはそういう状態が色濃く残っている可能性があります。特に田舎の地方の現場はパワハラや暴力・暴言をやらかして左遷されている人がいるケースも多いので、常識的に考えておかしいと思ったらすぐ上に相談するのがベターです。同じ部ではなく、総務部やその上の意思決定者、労基など、複数人に相談するのが大切です。