マンニトールの危険性と安全性評価【人工甘味料・食品添加物】
マンニトール(Mannitol)は、化学式C6H14O6、モル質量182.17g/mol、LD50:810g(体重60kgの場合)で、経皮・吸入毒性、皮膚刺激、目刺激、変異原性、生殖毒性、発がん性、生態毒性、生態環境有害性などはなく、腎不全の方は注意が必要ですが、基本的に危険性はありません。
マンニトールの化学的性質と詳細
マンニトール(Mannitol)は、化学式C6H14O6、モル質量182.17g/mol、水への溶解度181g/Lの人工甘味料です。気道過敏性の気管支誘発試験などで吸入マンニトールとして用いられることもあります。
マンニトールの危険性評価
腎不全の方は注意
「浸透圧性ネフローゼ」など、腎不全患者に対する高用量マンニトール投与は「腎毒性」の可能性がありますが、一般の用途で、一般の方向けに適正に使用する分には危険性はありません。
マンニトールのLD50(経口急性毒性)
ラットに対しての経口急性毒性、LD50は13500mg/kgとされています。これをそのまま体重60kgの人間に当てはめると、
13500mg = 13.5g
13.5g × 60 = 810g
となります。1日に一気に810gのマンニトールのみを経口摂取すると急性毒性反応が起こります。
ほぼ無毒性&データなし
経皮・吸入毒性、皮膚刺激、目刺激、変異原性、生殖毒性、発がん性、生態毒性、生態環境有害性などもデータがないか、ほぼ無害とされています。廃棄の際は水質汚濁防止法による〔排水基準〕160mg/L 以下 (日間平均 120mg/L 以下)という制限はあるものの、危険物・劇物でもなく、特段目立った危険性はありません。
マンニトールの安全性評価
マンニトールには浸透圧利尿作用があり
- 急性腎不全のリスクがある患者への「腎保護」提供
- 頭蓋内外傷患者の頭蓋内圧低下
- 透析不平衡症候群の予防
- 心臓カテーテル法
- 心臓血管手術
- 静脈内造影剤の曝露後
など臨床環境で使用されます。医学的に適正量を使用する範囲では危険性よりも有益性の方が勝ります。
マンニトール注射液|マンニットT注15%(15w/v%)(PDF)では、
用法用量
D-マンニトールとして,通常1回体重1kg当たり1.0~3.0gを15~20%高張液として点滴静注する.なお,年齢,症状により適宜増減する.ただし,D-マンニトールとして1日量200gまでとする.投与速度は100mL/3~10分とする.
とされており、ラットのLD50:810gを大幅に下回る数値で、適正に調製、投与速度も指示されての利用となるため、一般の方がマンニトールのリスクを意識する必要はそれほどありません。
出典・参考
マンニトール|KOKUSAN安全データシート
http://www.kokusan-chem.co.jp/sds/D003420-1.pdf
マンニトール|SHOWA安全データシート
http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/13099250.pdf
指定添加物リスト|公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局
https://www.ffcr.or.jp/tenka/list/post-11.html
各添加物の使用基準及び保存基準|公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局
https://www.ffcr.or.jp/webupload/74a51493d997785a77ea40142cf05a79c6b52db7.pdf
食品添加物|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html
第二世代の糖アルコール
https://www.bfsci.co.jp/pdf/catalogue/03.pdf
The safety and efficacy of inhaled dry powder mannitol as a bronchial provocation test for airway hyperresponsiveness: a phase 3 comparison study with hypertonic (4.5%) saline
https://respiratory-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/1465-9921-6-144
Inhaled dry powder mannitol in cystic fibrosis: an efficacy and safety study
https://erj.ersjournals.com/content/38/5/1071.short
High-dose cisplatin therapy using mannitol versus furosemide diuresis: comparative pharmacokinetics and toxicity.
https://europepmc.org/article/med/6784924
High dose Cis-platinum diammine dichloride. Amelioration of renal toxicity by mannitol diuresis
https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/1097-0142(197704)39:4%3C1372::AID-CNCR2820390404%3E3.0.CO;2-J