脂肪燃焼の仕組みとお腹周りの脂肪をなくす方法【ラブハンドルを消す方法】
ダイエットや脂肪の燃焼をしたい方々向けに、アカデミックな「脂肪の代謝」に関する内容を少し噛み砕いて説明します。お腹周りの脂肪等をなくす前に、なぜ脂肪が蓄積したのか理解し、正しい脂肪燃焼につながるよう努力してください。
脂質・脂肪とその役割
脂質(Lipid)は以下のような種類に分類されます。脂質の主な役割は細胞膜や真核細胞内の細胞器官を包む膜を形成することです。
脂肪(Fat)は、グリセロール(C₃H₈O₃)と脂肪酸(Fatty Acid)のエステルで、結合様式によって
- モノアシルグリセロール
- モノグリセリド
- ジアシルグリセロール
- トリアシルグリセロール
- トリグリセリド
と呼ばれ、天然の脂肪(みなさんのお腹の脂肪も)ほとんどはトリアシルグリセロールです。
脂肪酸の種類
脂肪(Fat)となる前の脂肪酸は、大きく以下のように分類されます。
- 飽和脂肪酸(二重結合がない)
- 一不飽和脂肪酸(二重結合が1つ)
- 多不飽和脂肪酸(二重結合が2つ以上)
また、よく知られている脂肪酸として、以下のようなものがあります。
- ω-3脂肪酸
- EPA・DHA
- リノレン酸
- リノール酸
- オレイン酸
- アナンダミド
- テトラヒドロカンナビノール
これら脂肪酸は、グリセロールと結合した際に構造の一部がシス形→トランス形に変換されることがあり、この変換が起こると心臓病や心筋梗塞などの要因になるのではないかとの研究結果も一部あります。摂取する脂肪酸によって、体内に蓄積される脂肪の構造が若干異なるものになります。
脂肪の存在と機能
体内のトリアシルグリセロールは脂肪組織内の脂肪細胞の細胞質に油滴状になって存在します。脂肪は断熱効果をもち、内臓を守り、脂溶性ビタミンや他の脂質も蓄え、エネルギーの貯蔵も行います。
酸化された際に放出されるエネルギーは脂肪が最も多く効率的にエネルギーを貯蔵していることになります。脂肪は本来は不要なものではなく、生きるのに欠かせない存在です。
放出エネルギー(kcal/g) | 放出エネルギー(kJ/g) | |
脂肪 | 9 | 38 |
炭水化物 | 4 | 17 |
タンパク質 | 4 | 17 |
おデブになってしまうのは、必要以上に食べているからです。他の要因としては、太りやすさが遺伝しているケースもあります(分泌物質の異常等)が、その場合は医師に相談すれば解決する可能性があります。
肥満の要因と対策
肥満の要因は、食事で摂取するカロリーに対して、脂肪に頼る割合が多いことです。一言で言えば食事のバランスと食べるものの選択を間違えています。食べ過ぎなのではなく、食べ物の選択を間違えています。
- 食事で摂取する脂肪は全カロリーの30%未満にする(10%未満でもよい)
- 体脂肪率は、摂取カロリーではなく、摂取脂肪量の問題
- 脂肪を追加摂取すると蓄積された脂肪が放出されない
- 炭水化物→体脂肪変換はカロリーの23%を消費する
- 脂肪→体脂肪変換はカロリーの3%の消費だけで済んでしまう
- 基礎代謝量を高めれば、脂肪がエネルギーに変わりやすくなる
- 筋肉1kgあたりの基礎代謝量は13kcal
- タンパク質が不足すると筋肉量や基礎代謝量が減る
赤身肉も食用油も最小限に抑えるのが大切で、また、脂肪を追加摂取せず、炭水化物とタンパク質を適切な分量摂取し、全身の筋肉量を増やして基礎代謝を上げることが、無駄な脂肪を減らすための近道だということです。
脂肪が燃焼する仕組みと過程
脂肪が燃焼する仕組みを図説しました。脂肪が体内に入る所から解説すると
- 脂肪(トリアシルグリセロール)を摂取する
- 膵リパーゼで一旦モノアシルグリセロールに分解
- 小腸で吸収される時にトリアシルグリセロールに戻る
- キロミクロンとなって血中から全身に分散
- 必要な場所でトリアシルグリセロールになって活躍、または、貯蔵(デブる)
- 蓄積されたトリアシルグリセロールは血液経由で肝臓へ
- 肝臓で処理されておしっこや呼気として排出、または、エネルギーとして消費
全体的にバッサリ雑に説明するとこのような流れをたどります。ここで重要なのは、
- 血液中を流れていく
- 肝臓で処理される
- 余分な脂肪は蓄積される
- 脂肪は二酸化炭素や水に変換されて排出される
- 代謝各所でH2Oが必要である
ということです。血液の流れがスムーズであれば、代謝効率が上がります。肝臓の働きが万全で余裕があれば脂肪の分解も進みやすくなります。代謝の過程でH2Oが必須になるため、水をしっかり摂取していないと反応が進みにくくなります。
かんたんにまとめると
ここまでの内容を「痩せること・ダイエット」を目的としてまとめると、やることリストは以下のようになります。
- 脂質摂取は1日40g程度にする
- 血液サラサラ状態を維持する(ビタミンC&E・EPA・DHA適量摂取など)
- 筋肉量を増やすための運動をする
- 多めに水分摂取をする
- たくさん呼吸する(有酸素運動等)
- 肝臓の働きを高める(お酒を控える|タウリンやビタミンB群を摂取する等)
- 炭水化物はちゃんと摂取する
よくある勘違いとして、完全絶食すればやせるという言説がありますが、炭水化物やタンパク質が不足すると人体は既にある筋肉を自分で壊して使ってしまいます。先に使って欲しい脂肪を消費せず、筋肉タンパク質が先になくなるので、最もつけたい筋肉が減って逆効果です。
ちゃんと炭水化物とタンパク質を摂取しないとダメなので、絶食はやめましょう。飢餓状態にしても脱水状態になったり、筋肉が自壊して身体がやつれるだけなので痩せるどころか生命の危機に陥ることになります。結局痩せません。
あきらめてウォーキング(運動)をしよう
結局は「筋肉量」と「基礎代謝」がダイエットの要です。食事から余計な脂質を排除して暮らすのは大前提として、あとは、ひたすらに脂肪燃焼につながる動作(あえて運動とは言いません)をするのが重要です。
激しい運動や長時間の追い込みは続けられれば痩せますが、身体を壊す可能性のほうが高いので長期間継続する目的から遠ざかるのでおすすめしません。現代人に足りていない深い呼吸をたくさんできる無理のない運動をするのが一番です。
とにかく筋肉(体力)をつけて
女性や運動をあまりしてこなかった方に多いのですが、圧倒的に身体についている「筋肉量」が不足しています。筋肉が足りていない人は以下の動作がきついはずです。
- 通常の腕立て10回
- 通常の腹筋10回
- 1時間ぶっ続けウォーキング
- 壁倒立10秒
筋肉が足りない人はそれだけ基礎代謝が低いです。それなのに他の人と同じ、もしくは、多く脂肪を摂取していればおデブになります。運動になれるために最も簡単なのがウォーキングです。
筋トレを行うための「体力」をウォーキングで高めていきましょう。体力や持久力がついてきて、運動に慣れてきたら、より強度のある運動をするのがベストです。最初はヨガでもストレッチでもよいです。
お腹周りの脂肪を減らす運動
お腹周りの脂肪を減らすために追い込みをかけたい場合は、世間一般の腹筋(上体起こし)ではなく、ひねりのある運動をしましょう。
腹部だけでなく、おしり、脇腹、背中、太もも周辺の運動をするのがおすすめです。筋肉は2点間、3点間をつなげている組織なので、おしり周りを動かせば筋肉の始点である脇腹の方と、終点である太ももの方を両方動かせます。腹筋(上体起こし)だけでは減らしたい部位付近の筋肉にアプローチできません。
きつい強度の運動である必要はないので、プランクや無理のないひねり運動から始めましょう。
YouTubeの有志のパワー系の方々が正しい運動の例を実演してくださっているので、楽しく動画を見ながら真似して運動しましょう。投稿主の方々は11分とか3分とかかなり控えめな時間で提案してくださっていますが、ガチ勢(気持ちだけでも)の方々は、11分1セットとして1日にこれを6セット、10セットとやりましょう。
トレーニングは毎日やらなくても大丈夫です。1日3分を毎日やってもよいですが、2日に1回30分でも構いません。3日に1回90分でも構いません。運動量を高めれば良いのと、筋肉の超回復を考慮したら3日に1回のペースで「筋トレの日」と決めてどばっとやって筋肉痛になって、回復して…を繰り返したほうが長続きするかもしれません。
おデブな方々は毎日食べることは苦ではないと思いますが、毎日コツコツ運動するのは苦痛ですよね????筋肉量を増やさないと始まらないので、毎日じゃなくて良いです。とにかく運動して筋肉を増やす日を作りましょう。
たくさん笑う・明るい気持ちを維持する
本ページの最初の方、アカデミックな話に少し戻りますが、脂質は神経伝達物質の間にも必須の栄養素です。感情が大きく揺れ動くこと、たくさん楽しくてたくさん笑う、気持ちが明るく高揚している状態では、それだけ神経伝達活動が起きているので、脂質を消費することになります。
雀の涙ほどの影響ですが、陰気なストレスや感情を減らして、明るい気持ちでいることもかなり重要です。筋トレに慣れてくれば気分も明るくなるはずですが、個人優先で孤独な時間の多い現代人は、以前ほど笑わなくなっており、会話も減っています。
- 映画を見る
- 漫才を見て笑う
- お友達と楽しくお話する
- 楽しくお酒を飲む
- 恋人や友達と一緒に運動する
- 音楽を聞きながら作業する
といった工夫だけでも、長い目で見ると大きな変化につながります。
がんばるのではなく、楽しみましょう。100歳までおいしいものを食べ続けるために、100歳までうまい酒を飲み続けるために。