映画「ストレンジ・ワールド」を見た感想・レビュー【ディズニー】
映画「ストレンジ・ワールド」を見た感想・レビューを一部ネタバレを含む形でまとめています。感動した所、感じ取れたメッセージ、自分にとって響いた所のほか、思ったことをそのまま書き出しています。基本的にディズニープラス、または、ユーネクスト(U-NEXT)で視聴できる作品です。参考までにどうぞ。ぜひ自分の目で作品を感じて下さい。
イマドキの人間関係と自然との共生を伝える作品
ポリコレとでも言うのか、主人公の少年は男性同士で恋をしていて、親もそれを認めているという背景がありますが、少年が親の稼業を支えながら冒険に夢見ている様子も描かれていて、新しい時代の感覚と古い時代の感覚が混ざって、かつ、自然から与えてもらった資源で暮らしている自分たちの置かれた環境と、資源そのものが世界にとっては害悪であるという現実社会への皮肉たっぷりな側面もあります。
たとえ稼業に必要で、裕福で便利な暮らしに欠かせないものであっても、自分が住む自然を壊してしまっては意味がない事に触れられており、本作品では自然を優先し、自らの力でエネルギー問題を解決しています。
古臭い冒険好きの祖父と孫世代のカップル(男子同士)
いわゆる昭和な感覚の古風なおじいちゃんは冒険家として命を落としたかと思われていましたが、しぶとく新たな世界(彼らの住む土地の奥深く)で生き延びていました。
それに対して、孫世代にあたる少年は親とともに稼業であるエネルギー資源を実らせる植物を栽培しており、少年の恋する人は男性というLGBT?に配慮したかのような、ポリコレに屈したと世間に言われるかのような要素もありました。
親は男女、少年は男性に恋しているようで、あっさりと祖父の孫の恋を受け入れているような感じでした。そんな頑固でわがままで自分の気持ち優先な祖父が心を変える様子を描くことで、時代のうねりや変化へ対応することの大切さにも触れられています。
巨大な「生き物の中で生きている」ということ
本作の舞台は巨大な生き物の背中と内臓を舞台にしています。大きすぎて何の生き物だったかは忘れましたが、たぶんカメだったと思います。
解剖学的に、生物学的に、生物の体内に存在するさまざまな機能が描かれていました。免疫機能、マクロファージ、白血球、赤血球のほか、心臓にも触れられています。
ストーリー当初は巨大生物の背中の上で生きていただけでしたが、稼業とした植物が巨大生物を苦しませる病原菌のようなものだったことが分かり、本作では共生を選びます。
資源の無駄遣いに対する風刺や皮肉
人間本来の生き方に不要な利便性を求めた結果、必要以上に資源を消費し、浪費し、自然界を食いつぶしている様子が描かれ、皮肉っぽい表現はあまりなく伝えられています。
自然界から得られたものは自然界のものという感覚は、日本人などは当たり前に持っていますが、宗教観的には、この感覚を持たない人々もいます。世界は神様から人間に対して与えられたもので、それを享受するのは当たり前だと考えている人もいます。
自然界に対する理解、自然か人間か、宗教か自然界の真実か、人間の自分勝手な思想・思考・宗教で世界を壊していい理由にはならないという根本的な部分を正すような内容もありました。
共生の難しさと大切さ
自然と共生しながら、暮らしやすく平和な人間生活を送るのはとても難しいことで、毎日当たり前に繰り返される「単なる日々」や「当たり前のこと」は実はとても幸せなことであると気付ければ、本作を見た価値は十分あります。
人間の見えている世界よりも桁違いに大きい存在があり、その存在の中でバランスを取って存在しているのが自然界です。その自然界をコントロールや調整、管理して自分たちの都合の良いようにしているのが人間です。
弱くて、毛が生えていないだけのよく喋り火を使うただの猿が人間で、自然界で何も服を着ずにいては数日と生きられません。人間が生きるには衣食住が約束されている必要がありますが、大勢の人が集まってコミュニティを形成して生きている社会では、原始的な暮らしに戻ればいいかというとそんあこともありません。
人のエゴ、自分勝手な点、自然の偉大さとちょっとした理由で自然が崩れ去るというメッセージが本作には込められていると感じました。
ちなみに青いアメーバのような生き物は免疫細胞の樹状細胞というものだそうです。