ラディッシュ・二十日大根が辛い理由と辛味成分
赤くて丸い根菜ラディッシュ(二十日大根)が辛いのは辛味成分「アリルイソチオシアネート」が含まれているためです。栽培時にカリウムが多すぎたり、水やりが足りないと辛くなりやすいともいわれています。アリルイソチオシアネートは揮発性があり、5分ほど空気にさらすと辛味が減ります。
ラディッシュが辛い理由「アリルイソチオシアネート」
ラディッシュや西洋わさび・ホースラディッシュなどに含まれるアリルイソチオシアネート(Allyl isothiocyanate|IUPAC:3-Isothiocyanato-1-propene)は
- 化学式:C4H5NS
- モル質量:99.15 g/mol
- ラットLD50:339mg/kg(経口)
- マウスLD50:80mg/kg(経皮)
の有機硫黄化合物です。マスタードの辛味成分もこのアリルイソチオシアネートが関係しています。ラディッシュ1玉あたりアリルイソチオシアネートは約0.5mg~2mg程度含まれています。
※長ネギや玉ねぎの辛味成分はアリシルといい、アリルイソチオシアネートとは別物です。
アリルイソチオシアネートの特徴
ラディッシュにも和からしにも含まれている「アリルイソチオシアネート」は揮発性があり、香りをかぐだけでも涙目になるのはこのためです。水に溶かしてしまうと徐々に加水分解されますが、水に溶かさなければ揮発して自然に分解されます。
アリルイソチオシアネートは非常に分解されやすく、数分で辛味成分が減るため、長ネギやたまねぎのように水で洗わなくても、ラディッシュは薄くカットしてからしばらく放置するだけで辛味を減らすことができます。
抗菌・抗真菌作用があり、カビや酵母に対しても抗菌作用が期待できます。
ラディッシュの辛味をなくす・減らすには
ラディッシュの辛味を減らすには
- 薄く輪切りにして水洗い
- 薄く輪切りにしてそのまま放置
- ざく切りにして加熱する
- 切り込みを複数入れてしばらく放置
といった処理をすることで、揮発性のアリルイソチオシアネートがラディッシュの外に出ていって、辛味が減ります。ラディッシュをまるごと1個かじって食べてしまいたい場合は、洗って土を落とした後、あちこちに包丁で切れ目を入れてしばらく放置するとアリルイソチオシアネートが少し飛んでいって辛味が減ります。
薄い輪切りにして水洗いしてしまえば、アリルイソチオシアネートが水の方に逃げていくので少し辛味を減らせます。また、加熱調理してしまうのもオススメです。
ラディッシュが辛くなるのはなぜ?
ラディッシュが辛くなるのは、栽培時に水が足りなかった、または、肥料・土の環境が適切でなかった可能性があります。ラディッシュに当たり外れがあると言われるのは、水やりのむらがそのまま辛さに繋がるためで、しっかり水やりできている株は辛さが少なく、カリウムが適量であれば辛さは減るはずです。
肥料のあげすぎ、水不足で辛くなってしまうとはいえ、約1ヶ月で収穫できるものなのでそこまで辛くないラディッシュをあえて作ることにリソースを割く必要もないといえば無いです。大根同様、辛いものは辛いので、調理の過程で辛さをなんとかすればいいだけの話です。
大きさが小さいラディッシュの方が辛さは弱いはずです。
ラディッシュの効能・栄養
ラディッシュにはジアスターゼというでんぷん分解酵素が含まれており、消化を助けて胃もたれ、胸やけ解消に役立ってくれます。
ラディッシュ100g中にビタミンCが約19mg含まれており、他の根菜や野菜に比べるとビタミンCは多めですが異常な多さではないので気にするほどではありません。
ラディッシュ100g中にカリウムは220mg、カルシウム21mg、リン46mgを含みミネラル分も含まれています。その他脂肪の分解を助けるリパーゼや赤色色素に関係するアントシアニンなども含まれており、栄養面でラディッシュはなかなか魅力的です。
ラディッシュ1個約10g
ラディッシュの小ぶりの可食部の重さは6~10gほどで、輪切りにしている場合には1gに満たない量となります。ラディッシュをまるごと1個かじって食べる場合でも一度に100個程度食べたとしてもLD50には到達しません。
出典・参考
和からしの辛味|S&B
ダイコン栽培品種におけるイソチオシアネート含有量の差異
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010832214.pdf