アパートの一室で個別指導塾が成り立っている理由と成功までの苦労
アパートの一室で9年以上も学習塾、個別指導塾を出資無しで続けられているのは、それ相応の努力と献身、苦労があるからなのは当然です。場所については大家、不動産屋さんに理解と許可をもらい、運営方法については自分のプライベート空間を完全になくして献身することで成り立たせ、資金については私自身の知識、能力、大学時代の学びがあったからなんとかなっています。くれぐれも資本が少なくてやっていけるからと、学習塾を開かないことです。
重要なのは先生だった
今でこそ、一つの教室に私自身がボランティア9割で勤務しているので教室が成り立っていますが、一度調子に乗って2号店をやろうとしたことがありました。仕組みはスタイルはできるだけ同じにして、アパートの一室で教室をしようとしましたが、雇い入れた先生では能力不足で、ボランティア的な部分にも報酬を支払わないといけないので無理でした。
そもそも採算を度外視しているシステムなので、ボランティアでなければこの教室のスタイルは成り立ちません。通い放題、勉強し放題のシステムは先生の献身と資金の余裕が無いとできないです。塾講師は絶対にアルバイトに頼ってはいけず、アルバイトに教室管理はやらせてはいけないということも学びました。
自分と同じことを他人もできるだろうという勘違いが大きな失敗を招いて、大勢に迷惑をかけました。それは私の見立てが間違っていたためで、その後の教訓は今の教室運営に強く生かされています。私が贅沢をしていてはいけない、楽をしていてはいけない、ビジネスとしてこの教室システムを拡大してはいけないという教訓を得ました。
アパートでもマンションでもやることは同じ
定額制、全教科指導の個別指導塾をやるには、場所は関係ありませんでした。場所代をかけないこと、とにかく生徒のサポートに徹すること、勉強成績にこだわらないことというのも教訓でした。この理由は、当時Skypeで勉強指導するスタイルで講座をやっていても成功していた時期があったためです。成功というか、頼ってくれていたということ。
この場合、場所ではなくて、人を信じてくれて、私を頼ってきてくれていたというのが重要な点だというのは、パートナーや仲間に気付かされました。そのスタイルは「お前さんじゃないとできないんじゃない?」という言葉は、うぬぼれからくるものじゃなく、そこまでの自己犠牲を払えるほどのドMは他にいねぇぞってこと。
個人塾では先生に人が集まる
経営の話をし始めると、どうしてもカリキュラムや教室の雰囲気、デザイン、教材、受験対応、サービス内容、料金などシステム面を重視して考えることが多くなります。実際に、そうしたシステムも大切ですが、一番の決め手は料金と先生の信頼度でしょう。カリキュラムが良くても、生徒と親が先生を信用できなければ成功はありえません。
個人塾をやる場合、性別、年齢は関係ありません。先生がどれだけ真剣で、まじめで、勉強と生徒に向き合えているかが大切です。実は、勉強指導、学習指導は若い先生のほうが人気が高いです。年功序列が強い日本において少し特殊な例かもしれません。若い先生のほうが頭脳もフレッシュで、柔軟性もあると考えられています。
お年寄りの先生でも問題はないですが、生徒としては若い先生のほうがいい、質問しやすいというメリットもあります。個人塾では、先生の魅力に人が集まるので、人間性を、自分磨きを必要以上にやっておきましょう。特に倫理観と哲学的視点は成長期、思春期の若者に向き合うときに必須です。
以下の質問に答えられるように
次にあげる質問に対して、先生なりの他とあまりかぶらない、論理だった回答をできるようにしておきましょう。宗教的観点、哲学的観点が入る場合もありますが、それで良いんです。この考え方はどんな考えを基準にした結果のものでしかなくて、絶対の答えじゃないと言えることも大切です。
- なぜ生きるのか
- なぜ勉強するのか
- 目の前の世界は現実か嘘か
- 社会が腐っていない理由は
- 人のために生きる必要はあるのか
- 親を大事にするのはなぜか
- 人を殺してはいけないのはなぜか
- 勉強をして何の役に立つのか
- 大人はなぜ楽で好き勝手に生きているのか
否定でも肯定でも、どちらの意見でもよく、絶対に正しい答えでなければいけないわけでもありません。絶対に言ってはいけないのが「わからない」とか「関係ない」という言葉です。この言葉を発した瞬間、この先生は「私の話に耳を傾けず、アドバイスもしてくれず、自分のやりたいようにするだけの人だ」と直感で理解して、先生を頼らなくなります。
曲がりなりにも、未熟であっても先生を名乗るならば、上記の質問に最低限の答えが出せるようにしておきましょう。教師、先生の立ち場にいながらこれに答えられないのは、はっきり言って勉強不足です。大人としても、これらの問題、命題に対して自分なりの意見を持っておかないと子どもはついてきてくれません。何よりも信頼を大切に。