【安全ではない】カラメル色素とは?混在するメチルイミダゾールにリスクあり【学術論文】
コカ・コーラを代表する茶色の清涼飲料水などに人工の添加物・色素として使われているカラメル色素は、日本では食品には使用できないですが、飲み物には色つけ、苦味の追加などの目的で少量添加されます。カラメル色素にはⅠからⅣまでの4種類があり、体重60kgの方は1日に9600mg未満(160mg/kg/day)の摂取で抑えられるようにしないとADI:1日の摂取許容量を超えますので危険です。
カラメル色素の正体はこれ
カラメル色素にはカラメルⅠ、Ⅱ、Ⅲ、ⅣのⅣ種類があり、製造工程でどんな処理を行っているかによって選別されます。亜硫酸化合物とアンモニウム化合物の利用をするのが工業的製造方法で安価な色素として導入する場合には、亜硫酸化合物やアンモニウム化合物を使うのが一般的です。
このカラメル色素の製造過程で副産物として生まれる4イミダゾールという物質に発がん性があるため、カラメル色素が危険であるというのは、この4イミダゾールという物質が含まれているかどうかがポイントになります。
引用ここから
英文(https://noshly.com/additive/e150a/colour/150a/#.WvhpB2h1yUl)
E150a – Caramel I – plain caramel: Caramel colouring can be produced from sugar or glucose. For products using sugar produced from starch, gene technological applications can be used: Glucose can be produced from plant starches. Maize starch can comprise a certain percentage of genetically modified maize, especially when the raw material is imported from the USA or Argentina. In the EU, a relatively small area is planted with GM maize, which is not used as a raw material for food products. This could change if significantly more GM maize is planted. In future also: starch from potatoes or wheat. Enzymes breakdown the plant starches and converting them to the required ingredients or additives. Many of these enzymes are produced with the help of genetically modified microorganisms, e.g. amylasen, glucose isomerase and pullulanase. Sugar may stem from genetically modified sugar beets. In the EU, food and feed are allowed that are derived from a GM sugar beet that is grown in North America. Commercial cultivation of GM sugar beets is not planned for the near future in the EU. Currently in the EU, sugar is won from conventional beets exclusively.
日本語訳
E150a – カラメルI – プレーンカラメル:カラメルの着色は、砂糖またはグルコースから製造することができます。澱粉から製造された砂糖を使用する製品については、遺伝子技術的適用を用いることができる:グルコースは植物澱粉から製造することができる。トウモロコシデンプンは、特に原材料が米国またはアルゼンチンから輸入されている場合には、遺伝子組換えトウモロコシのある割合を構成することができる。 EUでは、食品の原材料として使用されていないGMトウモロコシが比較的少ない面積で植え付けられている。これはGMトウモロコシが植えられれば変わる可能性がある。将来的にも:ジャガイモや小麦からのデンプン。酵素は、植物デンプンを分解し、必要な成分または添加物に変換する。これらの酵素の多くは、遺伝子改変された微生物の助けを借りて生産される。アミラーゼ、グルコースイソメラーゼおよびプルラナーゼが挙げられる。砂糖は、遺伝子組み換えのサトウダイコンから生じる可能性があります。 EUでは、北アメリカで栽培されているGMのサトウダイコンから派生した食べ物と飼料が許可されています。 GMサトウダイコンの商業栽培は近い将来EUで計画されていない。現在、EUでは、従来のビートのみから砂糖が得られます。
引用ここまで
カラメル色素が危険な理由はこれ
4-メチルイミダゾール
これはモル質量82.1 g/mol、化学式C4H6N2、融点46~48度、英語4-Methylimidazole、4MIという物質です。ラット投与の実験ではかなり多い量を投与したところほぼすべての個体でがんを発症したとされています。ただこの実験、いかにもありますが、投与量が多すぎです。もっと投与量を減らして実験した場合にどうなるか検証しないとなんとも言えないですが、発がん性があるのは確定:事実です。
引用ここから
キリンビバレッジでは、2014年4月のリニューアルより、キリンメッツコーラの4-MI含有量をカリフォルニア州の規制以下に低減すると発表した
米国国家毒性プログラム(NTP)は、ラットに2年間4-MIを170 mg/kg b.w.投与した実験で、ほとんどの個体に癌の発生がみられたことから、2007年に発癌性物質に指定した。これを受け、カリフォルニア州は2011年に一日の摂取許容量を16μgに設定した。大手コーヒー産業は、この基準は根拠を欠くとして、州を提訴している。
引用ここまで
4-Methylimidazole(Chemicalbook)
参考:http://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB5424070.htm
Pubchem(4-Methylimidazole)
参考:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/4-Methylimidazole
2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾール
このやたら長い物質は、モル質量230.22 g/mol、化学式C9H14N2O5、融点230度という物質です。THIとも呼ばれており、カラメルⅢの場合は免疫毒性があるとされる理由です。免疫抑制作用が起きてしまい、細胞シグナルに問題が出るので、欧州食品安全機関では、10mg/kg(6000mg/kg)が摂取基準とされています。
別名:1-[5-[(1R,2S,3R)-1,2,3,4-テトラヒドロキシブチル]-1H-イミダゾール-2-イル]-エタノン
THI
参考:https://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/sigma/t6330?lang=ja®ion=JP
2-Acetyl-4-tetrahydroxybutylimidazole (CAS 94944-70-4)
参考:https://www.scbt.com/scbt/product/2-acetyl-4-tetrahydroxybutylimidazole-94944-70-4
カラメルIII中の2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾール分析法の改良
参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/20/3/20_KJ00008991788/_article/-char/ja/
カラメル色素の構造が明確になっていない
カラメル色素Ⅰは「CAS Number: 8028-89-5」で閲覧可能です。このカラメル色素は炭水化物や糖類の加熱、化学的処理にて製造されます。一般家庭でもフライパンでお砂糖を加熱し続けると茶色くなりますが、それとほぼ同じものと考えて問題ないでしょう。
核磁気共鳴NMRなどを使用したとしても、上記画像のような構造と思われるシグナルが出るわけですが、それがどんな組み合わせで、いくつの五員環をもって1つの構造とみなせばよいかは確定できません。(少なくとも私じゃ無理。根気が追いつかない。)構造が明確ではないですが、カラメル色素そのものに危険はなく、そこに副産物として生まれる4メチルイミダゾール及び2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾールには健康リスクがあります。
亜硫酸化合物やアンモニウム化合物処理されていると危険
出典:Wikipedia
結局カラメル色素Ⅱ、Ⅲ、Ⅳは亜硫酸化合物、または、アンモニウム化合物を使用しているので摂取しないほうがいいです。また、カラメル色素Ⅰは、亜硫酸化合物、アンモニウム化合物を使用していないですが、4-メチルイミダゾール、または、2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾールが少量生成されてしまっている可能性が高いです。
カラメル色素Ⅰ(Plain)は危険じゃない?
研究が不十分です。個人的な見解では、研究が不十分なので使用しないのが一番です。少なくとも毎日摂取することになるのは避けたほうが絶対に良いです。多くの実験で、長期間の継続摂取をした場合、発がん性があったとしています。1ヶ月に1回だけコーラを飲むくらいで発がん性が強く出ることはおそらくないでしょう。
完璧な食品などないですが、健康リスクはありますので、怖い方や不安な方は清涼飲料水、添加物を入れて色素で色を付けている食品、カラメル色素を使用している食品は摂取しないようにしましょう。もし、私のパートナーが妊娠する予定があれば半年以上はカラメル色素を含む食品は食べないようにしてもらいます。それくらい気をつけたい物質です。
褐変反応(メイラード反応)とは?
ももやりんごなどの果物もカットしてからしばらくすると、糖の変化、酸化に伴って色が茶色くなります。この反応を褐変反応といい、化学的にはまだその詳細な反応機構は解明されていません。主に果物に含まれている糖分の構造が変化することで光の反射にも変化が起きている可能性、乾燥や活性酸素、一重項酸素の発生による影響などがある可能性があります。
カラメル色素はこうしたよく分かっていない化学反応により精製された、ひとまず問題はなさそうな茶色の色素ですが、当然摂取しすぎると発がん性リスクがあると言われています。特に工業的に生成されたカラメル色素は4-メチルイミダゾールという発ガン性物質を製造時に副産物として生み出すことが分かっており、カラメル色素そのものの危険性より、副産物の混入リスクがあると考えましょう。
Use of Food and Safty for Caramel Coloring
参考:https://ci.nii.ac.jp/naid/130006172750/
詳細な解明はまだまだ先になりそう
以下、研究途中でもあるカラメル色素に関係する論文からの引用です。製造工程で添加するアンモニウム化合物、亜硫酸化合物の加え方によってTHI(2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾール)という物質ができたりできなかったりする事がわかっているようです。比較的安全かと思われたカラメル色素ⅠでもTHIはわずかに検出されるようです。
引用ここから
カラメル色素の成分規格を設定する際の資料とするため、市販のカラメルI、カラメルII、カラメルIVの製品につき、2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾール(THI)の含量をHPLCにより分析した。製造工程の熱処理時にアンモニウム化合物が加えられるカラメルIIIにおいては、すべての製品中に、製品当たり0.72〜7.3μg/gのTHIが検出された。しかし、熱処理時にアンモニウム化合物と亜硫酸化合物の両方が加えられるカラメルIVでは、THIは全く検出されなかった。一方、アンモニウム化合物も亜硫酸化合物も加えられないカラメルIでは、1製品のみからTHIの可能性がある小さなピークが観察された。
引用ここまで
Content of 2-Acetyl-4-tetrahydroxybutylimidazole in Commercial Caramel Color Products
参考:https://ci.nii.ac.jp/naid/110007367138/
透明なコーラはカラメル色素なし
透明なレモン風味のコーラが販売されていましたが、この透明なコカコーラには4メチルイミダゾールが混在する可能性のあるカラメル色素が入っていないため、カラメル色素由来のリスクを心配する必要はありません。香料などの添加物はありますが、それだけなら他の清涼飲料水と何ら変わりないので、この透明なコーラは安全と言って良いでしょう。
透明なコーラは私も何度かすでに飲みましたが、お砂糖はガッツリ入ってますが、それ以外のこのページで記載しているようなカラメル色素の心配が無いのでちょっと嬉しいです。コカ・コーラ社もカラメル色素をようやく危険だと認めたのか、わざわざ透明にしてコーラの風味だけ出せるようになったのでしょう。安全な飲み物が増えるのは嬉しいですね。