サッカリンの危険性と安全性評価【人工甘味料・食品添加物】

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サッカリン

サッカリンの1日の安全摂取量(ADI)は3.8mg/kg体重(体重50kgの人で190mg=0.19g)とされており、ヒトにおいて、毒性や発がん性、遺伝毒性はありません。サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウムとして原材料記載されている場合もあります。

サッカリンの化学的性質と詳細

サッカリン(Saccharin|IUPAC:1,2-ベンゾソチアゾール- 3(2H)-オン 1,1-ジオキシド)は、化学式C7H5NO3S、モル質量183.18g/mol、ほとんど水には溶けない人工甘味料で、ショ糖の300倍~700倍の甘さがあると言われています。

 

サッカリンが一部の陰謀論者やニセ科学、ニセ医師などから危険だと言われている理由の一つが以下の試験です。

Almost from its discovery in 1879, the use of saccharin as an artificial, non-nutritive sweetener has been the center of several controversies regarding potential toxic effects, most recently focusing on the urinary bladder carcinogenicity of sodium saccharin in rats when fed at high doses in two-generation studies. No carcinogenic effect has been observed in mice, hamsters, or monkeys, and numerous epidemiological studies provide no clear or consistent evidence to support the assertion that sodium saccharin increases the risk of bladder cancer in the human population.

引用元:https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3109/10408449009089867

二世代にわたる雄ラットにサッカリンを与えた研究で、ラットにおいてのみ、高用量与えた場合にのみ「膀胱発がん性」があったとされていますが、サルや人間、マウス、ハムスターではこれが確認されていません。ラットには有毒で、他の多くの生物には影響がないものなどはたくさんありますが、サッカリンもこの一つと考えるのがまともです。

 

サッカリンの危険性評価

1日12gサッカリンを摂取しても異常報告はなし

人に対して行われた1年の臨床試験(治験)では、以下のようなデータが報告されています。

Different amounts of cyclamate, 1 to 9.6 g, or mixtures of cyclamate and saccharin, 1 to 12 g daily, were given by mouth to healthy persons or to patients with diabetes mellitus, functional gastro-intestinal disorders or impaired renal function, of different ages and status in life, for different periods up to 1 year. Results showed the doses to have no clinically significant effect on the cardiovascular, renal, gastrointestinal, hepatic and haemopoietic systems in any of the subjects.

引用元:https://www.cabdirect.org/cabdirect/abstract/19691401251

この治験では、

  • 健康な人
  • 糖尿病患者
  • 機能性胃腸障害患者
  • 腎機能障害患者

1日1〜12gのサッカリン・チクロ(人工甘味料|サイクラミン酸ナトリウム)混合物を与えたものですが、心臓、腎臓、胃腸、肝臓、造血作用などの悪影響はなかったと報告されています。

 

異常な高用量ではリンパ球に遺伝毒性を確認

In reports of IARC [23, 24], Ashby [25], Tennant [26] and Williams [27], saccharin was not active in in vitro short-term and in vivo genotoxicity tests. However, it has been found to induce SCE in human lymphocytes and plant cells in vitro, at doses as high as 25–50 mM [28].

引用元:https://www.researchgate.net/profile/Serkan-Yilmaz-6/publication/275648837_Saccharin_genotoxicity_and_carcinogenicity_a_review/links/55fa97b708aec948c4ab5b16/Saccharin-genotoxicity-and-carcinogenicity-a-review.pdf

試験管内(in vitro)では、25~50mM(1mM=0.001mol/L)という高用量の状況で、人のリンパ球と植物の細胞において、遺伝毒性があったことも報告されています。

 

サッカリン1molは「183.18 g/mol」で、これを元に「0.001molにあたるサッカリンの量は0.18318gとなります。上記の用量に合わせると

25 × 0.18318 = 4.5795g

50 × 0.18318 = 9.159g

となり、1Lあたり約4.6g~9.2gを含む状態で行われた試験であるとわかります。

 

サッカリンの1日の安全摂取量「5mg/kg」

サッカリンの1日の安全摂取量は5mg/kgとされています。(出典リンク)これは体重50kgの人の場合、

5 × 50 = 250mg

250mg = 0.25g

となり、サッカリンは1日あたり0.25gまでが安全摂取量となります。前述の人のリンパ球(重量でいえば数mg~数gのもの)に対して行われている試験では、この安全摂取量を大きく超える用量4.6g~9.2g(体重50kgの人向けの安全摂取量の16倍~36倍もの量)を、リンパ球のみに付している試験であって、そもそもの前提が異常過ぎて比較になりません。

 

前述の試験でリンパ球に遺伝毒性が出たのは、濃度が濃すぎるためで、どの程度の濃度から遺伝毒性が出なくなるか研究されておらず、極端すぎる結果として当てになりませんが、高用量では問題が起きることの証明にはなっています。

 

サッカリンの1日摂取量の推移

日本(香川県)においてのサッカリンの摂取量の推移は以下の通りです。

  • 1982年:0.906mg
  • 1988年:1.11mg
  • 1991年:0.859mg
  • 1994年:0.416mg
  • 1997年:2.88mg
  • 2002年:0.65mg
  • 2006年:0.18mg

一時期1日あたりの摂取量が増えていますが、同時に陰謀論やニセ科学などの影響もあって不評が広まったこともあります。代わりの人工甘味料としてサッカリン以外が使われるようになっただけで、それほど人工甘味料等の事象は変わっていません。

 

むしろ、以前よりも少ない量で、より安全に、同等か、それ以上の甘さを出せる人工甘味料が開発されており、新しい安全性も十分検証・公開されている人工甘味料に比べると、サッカリンは既に役目を終えているかもしれません。

 

サッカリンの安全性評価

厚生労働省の発表している資料によると、アメリカでは

  • 清涼飲料:1オンス(約30ml)あたり12mg以下
  • 卓上砂糖代替品:スプーン1杯あたり20mg以下
  • 加工食品:1食分あたり30mg以下

とされており、EUでは

  • 清涼飲料:80~100mg/L
  • デザート類:100mg/kg
  • 菓子類:80~1,200mg/L(または、mg/kg)
  • 加工食品:1食分あたり30mg以下

とされています。また、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム等の1日安全摂取量(ADI)は、3.8mg/kg体重とされており、前述の安全摂取量規定よりも少ない量が設定されています。

 

サッカリンを含む食品

サッカリンナトリウムやサッカリンカルシウムは、

  • お菓子用のペーストや原料粉末
  • アイスクリーム
  • あん類
  • 海藻加工品
  • 発酵乳・乳製品
  • ココア
  • チョコレート
  • 清涼飲料水

などに利用されており、想像以上に多くの一般的食品に添加されています。人体に害がない濃度での添加ですが、気になる方は、購入前に原材料表示を確認するようにしましょう。

 

出典・参考

サッカリンカルシウム

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000023pe7-att/2r98520000023q2h.pdf

食品中のサッカリンナトリウムの摂取量について

https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/2490/sufm7y170907143555_f23_1.pdf

SACCHARIN GENOTOXICITY AND CARCINOGENICITY: A REVIEW

https://www.researchgate.net/profile/Serkan-Yilmaz-6/publication/275648837_Saccharin_genotoxicity_and_carcinogenicity_a_review/links/55fa97b708aec948c4ab5b16/Saccharin-genotoxicity-and-carcinogenicity-a-review.pdf

A case for safety of cyclamate and cyclamate-saccharin combinations

https://www.cabdirect.org/cabdirect/abstract/19691401251

The Health Risks of Saccharin Revisited

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3109/10408449009089867

Saccharin: A toxicological and historical perspective

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0300483X83900215

Metal complexes of saccharin

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0010854505002857

指定添加物リスト|公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局

https://www.ffcr.or.jp/tenka/list/post-11.html

各添加物の使用基準及び保存基準|公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局

https://www.ffcr.or.jp/webupload/74a51493d997785a77ea40142cf05a79c6b52db7.pdf

食品添加物|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html

第二世代の糖アルコール

https://www.bfsci.co.jp/pdf/catalogue/03.pdf

 

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