食べると変な夢を見るチーズ「スティルトン」実食レポート&原理解説【イギリスのブルーチーズ】
食べて寝ると変な夢を見ると言われているイギリス原産のスティルトンチーズを食べて夢を見れたのでご報告。そして、その作用機序というか、なぜ食べると変な夢を見るのか、その原因・原理を、山梨大学工学部生命工学科(発酵生産・微生物系)卒の筆者が解説します。
結論
スティルトンチーズの青カビは「Penicillium roqueforti」(ペニシリウム・ロックフォルティ)と呼ばれる菌で、この青カビが生成する化学物質が
- アリストロチェン|Aristolochene(PR毒素前駆体?)
- アンドラスチンA-D|Andrastin A(タンパク質阻害系)
- Roquefortine C(高用量では神経毒)
といった死に至るほどの量の毒ではない物質を生産していて、これを経口摂取、代謝し、夢を見る「大脳皮質」に作用して「夢を見させやすくする」と考えられます。Roquefortine Cは「0.05〜1.47 mg/kg」程度の容量であれば問題ありません。
スティルトン・チーズとは
スティルトン(Stilton)は、イギリスで食べられているブルーチーズのことで、イタリアのブルーチーズだとゴルゴンゾーラと呼びます。産地の違いとともに、作用する青カビの違いがあります。1730年頃には既に作られていたとのことです。
スティルトンチーズを正式に名乗れるのは、ダービーシャー州、レスターシャー州、ノッティンガムシャー州においてルールを守って生産されたもののみで、ゴルゴンゾーラなどとは若干風味が異なります。
当方の入手したチーズには「スチルトン」と書かれているのみで、本物なのかどうかはちょっと怪しい。でも、これしか見つからなかったので、これで試すしかない。
実験と結果
今回は、山梨県甲府市の地にて、スティルトン・チーズを入手する所から。甲府駅ビルセレオの成城石井では取り扱いがなく、岡島百貨店の地下PAXにて発見。
就寝の30分前に、10gのスティルトンのみを食べて、コップ1杯180ml程度の水を飲んだ。
結果、就寝中に複数の夢を連続で見た。記憶が曖昧だが
- 昔の馴染みの友人が出てくる場所で何かを話していた
- 不明瞭な場所で何か作業に没頭していた
- 不鮮明な空間であたりを見渡していた
など、恐怖心や不安にかられる夢ではなく、明らかに「あぁ、これ夢だな」と分かる夢を立て続けに見た記憶がある。
普段から夢を見ることはあるが、見た場合はその夢はかなり鮮明で記憶に残っているが、今回の夢はあまり記憶に強く残らない印象のものだった。
2005年にイギリスのチーズ委員会も公式に、夢を見る確率が高いと発表しているので、結論で述べた通り、チーズに含まれている成分がなにか作用して夢を見やすくさせている可能性が高い。
追記|チーズ摂取量20gに変更
前回よりもスティルトンチーズの摂取量を増やし、20gを食べてから就寝。また、夢の内容を少しでも鮮明に残すために、夢を見た後、一瞬でも起きたら、気力と気合いでスマホにメモを残すことにした。
【見た夢のメモ】
アジアの発展途上国っぽい場所に家族旅行に行っており、レンタカーを借り、空が超きれいだなぁとか感動しながら、レンタカーを停められる場所をひたすら探し回っていた
夢としては、たしかに変な夢ではあるが、悪夢ではなくふわふわしている夢だった。メモを残すのがきつかった、すぐに二度寝したかった。
追記|チーズ摂取量20g+日本酒2合
チーズの摂取量を20gに変更し、さらに寝る前に日本酒を2合飲んだ。
この場合、普段は4合飲んでも悪酔いしないのだが、この時は睡眠の質が悪く、体調の悪さ、だるさ、不愉快さを感じた。より長く眠り、夢は見なかった。
おそらく、スティルトンチーズの、少量の神経毒類と、アルコール分解の途中で発生するアセトアルデヒド、尿素などの関係で、体内のあまり良くない物質率が高まった、代謝すべき物質が増えすぎた、また、アルコールによる脳のバグ的なもので夢を見るどころではなくなった、と考えられる。
スティルトンチーズで、変な夢を見たい場合には、お酒は飲まないほうが良いと思われる。
味はTHE・ブルーチーズって感じ
ブルーチーズのちょっと青い酸味、アーモンドっぽい渋味、青臭い独特の香りがあって、割と硬め。おいしいけど、苦手な人には無理だと思う。
ワインには合うけど、日本酒には合わない。香りが口の中に残るので、寝る前に食べるとか「まぢ?」って思うくらいには、あんまり心地よい香りではない。
少量、クラッカーとかトーストとかと一緒にドライフルーツ合わせて食べたらおいしそう。