スクラロースの危険性と安全性評価【人工甘味料・食品添加物】

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スクラロース

スクラロース(Sucralose)の1日の安全摂取量は0~15mg/kg体重で、体重60kgの人の場合は900mg程度と、比較的安全性が高く、遺伝毒性・発がん性・催奇形性の他、動物毒性なども報告されておらず、一般常識的な用量でのスクラロース消費には危険は伴わないと考えられます。

スクラロースの化学的性質と詳細

スクラロース(Sucralose|IUPAC:1,6-ジクロロ-1,6-ジデオキシ-β-D-フルクトフラノシル-4-クロロ-4-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシド)は、化学式C12H19Cl3O8、モル質量397.64g/mol、水への溶解度283g/L(20℃)の人工甘味料です。

 

スクロース(ショ糖)の600倍ほどの甘さがあり、熱に強く、非栄養性なため、食品、飲料、焼き菓子などでも利用され、少量で十分な甘味を出せる甘味料です。血糖値を上げにくいので、糖尿病の方が摂取してもそれほど悪影響はありません。

 

スクラロースの危険性評価

以下、スクラロースの危険性を認識するのに必要な資料・データです。

高温加熱で分解

It should be noted that the sensitivity of dry pure sucralose to high temperatures was also assessed during the initial stability testing conducted for regulatory approval (Goldsmith and Merkel, 2001, Grotz et al., 2012). Heating solutions of pure sucralose or pure sucralose plus glycine for 60 min at 180 °C resulted in the formation of several furan derivative volatile compounds and a dramatic drop in pH to less than 2 (Hutchinson et al., 1999). Furans are also formed from breakdown products of monosaccharides, and are also found in many foods providing flavor notes (Hutchinson et al., 1999).

引用元:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691517302818

スクラロースとグリシンを混ぜたものを60分180度で加熱した所、揮発性のフラン誘導体がいくつか生成されたとの報告があります。これは、特に危険性を高めるものではありませんが、pHが2以下になるなどの現象もあるため、料理に使用する場合には配慮が必要となるかもしれません。

 

スクラロースは多くが糞便として排泄

出典:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691517302818

人間に対し、空腹状態でスクラロースを経口摂取させると、その78%~86%は糞便として排泄、11%~14%は尿として排泄されます。ラットやうさぎにおいても同様で、スクラロースは糞便として排泄される割合が多いです。経口投与したスクラロースのうち93%~97%が排泄物から回収できたと報告されています。

 

No other ADME parameters were reported. In the first experiment, adults (n = 11) consumed 0, 68, 170 or 250 mg sucralose in water (resulting in doses of 0.66–1.31, 1.65–3.28, and 2.51–4.82 mg/kg, respectively). In a second experiment, adults (n = 11) consumed 68 mg sucralose and 41 mg acesulfame-potassium in either cola or seltzer. In the third experiment, children (n = 11, ages 6–11 y) consumed 0 or 68 mg sucralose in water, (resulting doses 1.25–2.78 mg/kg). Peak plasma concentrations (adjusted for body weight) increased with dose as expected, were similar in adults and children, and were not affected by delivery vehicle or BMI of the subject.

引用元:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691517302818

複数の溶媒と年齢において

  • スクラロースを水で経口摂取(成人)
  • スクラロースをアセスルファムKを含むコーラと一緒に経口摂取(成人)
  • スクラロースを水で経口摂取(子ども)

のように試験しても送達媒体とBMIの影響は受けず、ADME(吸収・分布・代謝・排泄)には影響はそれほどなかったと報告されています。大人も子どもも同様に代謝されるということです。

 

遺伝毒性・変異原性なし

出典:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691517302818

スクラロースは(Sucralose)は化学的な構造上、求電子性がないこともあり、遺伝毒性や変異原性はないと報告されています。DNAの損傷を誘発することはほとんどなく、よほどの高用量でなければ細胞に対して毒性を持つこともありません。

 

急性毒性とLD50

マウスに対する経口摂取の試験では、LD50は16g/kg以上、と報告されています。これはマウスに対しての数値ですが、体重60kgの人間に当てはめると

16g × 60 = 960g

となります。常識的に、1度に約1kgの砂糖を経口摂取することはありませんので、急性毒性を招く危険はほとんどないと考えられます。

 

動物毒性・発がん性・神経毒性・催奇形性なし

体重、発育段階、行動、血液、臨床、尿検査、眼科的変化など、40を超える組織の反応を見た研究がありますが、ほぼ全てにおいて毒性はありません。

  • 1%、または、2.5%の食事群では悪影響なし|ゴールドスミス (2000)
  • 摂餌量と体重の減少、および一部の相対臓器重量の変化|ゴールドスミス (2000)
  • スクラロースを与えられたラットの盲腸重量の増加|SCF (2000a)
  • 盲腸内容物の浸透圧上昇の結果としての盲腸重量の増加|ゴールドスミス (2000)
  • 投与の 24 時間後、タンパク質の発現に違いなし|Viberg および Fredriksson (2011)
  • 肝臓の重量とすべての酵素活性を増加(正常範囲内)|JECFA (1989a)
  • 水群と比較してバクテリアの数が減少|アボウドニア等(2008)
  • 母親または胎児への影響なし|Kille et al. (2000a)

盲腸への影響が多少存在しているものの、一般的な食事行動に伴う変動でもあって、スクラロースそのものを異常なほど高用量で摂取しない限りは、人体に悪影響はありません。

 

スクラロースの分解生成物についても、一部、測定できていないものもありますが、多くはDNA損傷を誘発せず、遺伝毒性はないと報告されています。

 

スクラロースの安全性評価

スクラロースの安全性に関係する資料・データは次のとおりです。

1日の安全摂取量・許容摂取量(ADI)

The JECFA first approved sucralose in 1989, after reviewing extensive studies, establishing a temporary ADI of 0–3.5 mg/kg bw/d based on a NOAEL of 750 mg/kg bw/d in a one year study in dogs and a 200 fold safety factor.

In 1991, following the evaluation of data from additional studies in both animals and humans, the Committee allocated a permanent ADI of 0–15 mg/kg bw/d based on the NOAEL of 1500 mg/kg bw/d from a long-term study in rats, and a safety factor of 100 (JECFA, 1991b).

引用元:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691517302818

イヌのNOAEL(無毒性量)は750mg/kg体重、ラットのNOAEL(無毒性量)は1500mg/kg体重であることが、長年の研究によって知られていますが、人とイヌの試験において、1日の安全摂取量は

0~15mg/kg体重

と報告されています。体重60kgの人の場合は、

15mg × 60 = 900mg

が1日の安全摂取量で、ショ糖で同じ甘さを出すには、この600倍に当たる540gのお砂糖を必要とします。

 

出典・参考

指定添加物リスト|公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局

https://www.ffcr.or.jp/tenka/list/post-11.html

各添加物の使用基準及び保存基準|公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 事務局

https://www.ffcr.or.jp/webupload/74a51493d997785a77ea40142cf05a79c6b52db7.pdf

食品添加物|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html

第二世代の糖アルコール

https://www.bfsci.co.jp/pdf/catalogue/03.pdf

An overview of the safety of sucralose

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0273230009000786

Critical review of the current literature on the safety of sucralose

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691517302818

Sucralose – an overview of the toxicity data.

https://www.cabdirect.org/cabdirect/abstract/20000313136

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