山梨低迷の理由とは【いまいちパッとしないのはなぜか】

山梨が低迷しているというよりは東京や大阪以外の地方全体が低迷していると表現すべき案件ですが、今回は山梨に限った話として、統計データも少し交えながら山梨低迷の理由、いまいちパッとしない理由を紐解きます。

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山梨に関する統計データ

山梨県常住人口調査結果(リンク)によると、

  • 平成30年の人口:818,391人(337,325世帯)
  • 令和4年の人口:801,620人(345,736世帯)

人口にして16,771人の減少、8,411世帯の増加があったと発表されています。平成30年は西暦2018年、令和4年は西暦2022年ですので、約4年で山梨県内の総人口は約2%減少している事になります。


また、山梨県統計データバンク(リンク)のデータによると、

  • 昭和5年(1930年)の人口:631,042人(122,022世帯)
  • 令和4年(2022年)の人口:801,620人(345,736世帯)

であり、長い目で2点だけ比較すれば、人口は170,578人の増加、223,714世帯の増加があると分かります。


昭和5年の日本の総人口は64,450,005人(6445万人)、12,704,736世帯(1270万世帯)で、令和4年の日本の総人口は125,927,902人(約1億2600万人)です。

 

日本の総人口は同じ期間でほぼ2倍になりましたが、山梨県内の人口は約1.27倍にしかなっておらず、そもそもさほど成長していません。他の地域でも言えることですが、昭和の頃から人口そのものがそれほど増えていない所に、少子高齢化と人材流出の波がやってきており、低迷を語る以前のレベルの話です。

 

昭和と令和の物価と月給の違い

昭和初期の頃は月給は85円~92円ほど、甲府市の老舗洋菓子店「早川ベーカリー」ではケーキは安いものは30銭、高いものは5円だったと記録されています。現在の価値にして30銭=約3,000円、5円=5万円だとのことです。

  • 100銭=1円
  • 8500銭=85円
  • 30銭÷8500銭×100=0.35%
  • 500銭÷8500銭×100=5.88%

今現在令和の月給は、全国平均36万円(手取り約27万円)ほど、しかし、山梨県の大学卒業程度行政職の月給は約198,400円(リンク)ほどなため、山梨県内の月給としては月給約20万円が実態に近い数字でしょう。県内の人には有名な話ですが、山梨には工場が多く、工場勤務の方は月給が高止まりするため、山梨県内の男性はあまりお金を持っていないともブライダル界隈では言われています。

  • 現代:ケーキ一切れ400円程度
  • ホールケーキ約4000円程度
  • 400円÷200,000円×100=0.2%
  • 4000円÷200,000円×100=2%

物価の比較は難しいものですが、昭和5年の1人あたりの1日の食費は26銭(出典・参考リンク)だったとのことで、1ヶ月の食費は約8円程度。月給の約10%が食費に当てられたと考えられます。ラーメンは1食10銭程度で、ラーメンを毎日1回食べても3円程度(月給85円の3.5%)でした。

 

今現在令和は、ラーメンは平均1食800円、毎日1回ラーメンを食べると24,000円(月給20万円の12%)です。昔が安かったり、味が悪かったり、社会的な影響があったりすることも理解できますが、約90年たった今、山梨県内の物価はなかなか渋い状況であることに納得できる方は多いでしょう。

 

山梨はハードモードで緩やかに成長してきた

ここまでの様子を見ると、山梨は、人口増加は1.25倍程度、ラーメンの物価で見ると4倍になっている、または、給料がそれほど上がっていないため、田舎特有の物価のバランスはどうであれ、収入に関してはゲームで言う所の「ハードモード」であると考えられます。

 

低迷の理由その1:山梨には娯楽がない

山、川、フルーツとワインと宝石はありますが、若者が求めている「東京新宿や渋谷・原宿のようなアソベル場所」というのが山梨にはありません。東京に遊びに行きます。山梨から若者が出ていく理由につながります。

 

低迷の理由その2:山梨では稼げない

田舎山梨の稼ぎで東京に行っても、お金が足りないので思い通りに遊べません。東京では時給1,500円の仕事が山梨では時給900円程度、稼ぎで1.5倍ほど差が付きます。その分東京は家賃が高く、車を必要としないですが、稼ぎの差は大きいです。

 

安い賃料の郊外に住んで、都内の時給のいい仕事をして稼ぎ、貯金するのが定番のセオリーです。稼げる場所に行こうとするのはごく自然のことです。狩猟生活であれば獲物がいる所に行きますので、若者が東京に向かうのは自然な流れです。

 

山梨県内の企業に高卒で入社した場合の初任給は手取り13万円程度で、これが数年変わりません。実態です。企業・会社にお金がないのは仕方がないとして、地域活性化や山梨を盛り上げようと自称している企業ほど社員にお金を払っていません、よね。知ってます。

 

Twitterなどで盛んに活動している山梨県内の企業の求人をみると時給980円とか月給20万円とかがほとんどです。会社としては偉そうに「山梨を盛り上げるぞー」とか言ってるくせして、社員に対しては充分なお金を払わず、やりがいを搾取して、盛り上げに一役買っているように見せているだけであるパターンが多いです。

 

本気で山梨を盛り上げるつもりなら、20歳の若い新入社員に月給40万円、40歳には月給80万円支払って、有力な人材を集めて、社員があちこちで余裕を持って生活できるような環境を作るべきです。そんなに払えない、でも、盛り上げたい…では、人は集まらないです。生活がありますので。双方にとって「生活がありますので」で平行線で進んでいけば、山梨は低迷していくしかないのは、自明の理です。

 

Twitterにいる山梨の企業の求人情報見てみてください。山梨を盛り上げようとしている会社が、人件費をケチって、盛り上げたように世間的に見せかけているだけです。こうした体質を変えられない限り、若者や県外の人に、山梨で働く意味は見い出してもらえません。

 

低迷の理由その3:主役が中年以上

若者は守られているとも考えられますが、月給面でも中年以上は優遇されています。20代で働きはじめて、40代になってやっと月給が40万円に届く…なんていう未来を今の若者に見せるのは残酷です。

 

近年は、ITの分野においては、中年よりも若者の方が仕事ができるのですが、給料に関しては中年管理職の方が上で、若者はやりたいようにやらせてもらえず、責任は若者にふりかかるのが実態です。人材は県外に流出して、給料が上がる期待はできない、中年や高齢者ばっかりに有利な場所なのであれば…

 

若者は若い間は東京に出て修行しながらいっぱい稼いだほうがマシですし、比較的安全なオーストラリアなどにワーキングホリデーとして行って、がっつり稼いで帰ってくるか、そのまま海外に住んじゃった方がマシな場合もあります。この時点で山梨に留まる理由がありません。これが敗因です。

 

地域活性化で見失っていること

ここまでの実態を見てもらえば分かるように、若者には山梨を出ていく理由があり、県外の人にとって山梨に働きに来る理由がありません。では、山梨の地域活性化はどこで判断するべきかというと、

  • 観光資源のPRと閲覧UU数
  • 外国人観光客向けPRの最適化
  • 観光客(日帰り・宿泊客)の増加
  • 稼げるおしゃれなバイト先の増加
  • 空き家・空室の減少数
  • 世帯の増加数
  • 山梨ブランドの輸出数

といった点であると考えます。個人の資金力と労力ではカバーできない部分を甲府市や県が主体的にやれない事情があるようです。やっている事業を応援するスタンスだそうで、甲府市のインスタで伸びている「けやき総合管理」のようなコンテンツをどんどん応援していくべきでしょう。

 

観光資源の活用がへたっぴ

山梨には観光資源が多く

  • 勝沼のワイン
  • 富士五湖と富士山
  • 神社と富士山
  • 富士吉田と忍野八海
  • 武田神社と新府城
  • 武田信玄ゆかりの地
  • 桃やぶどう等のフルーツ
  • 宝飾品と宝石加工

これだけたくさんのアピール要素があり、かつ、他県では真似できない分野が多いです。これらのPRがはっきりいってへたっぴです。表現を変えれば「がっついてなさすぎ」で、丁寧、かつ、静かにアピールしているものの「推し」加減が弱いです。

 

淡々と良さを語るんではなく、熱く熱量満点で語ったほうが人は関心を持ちます。山梨県内の新倉富士浅間神社などは外国人観光客の方が多いのですが、施設の修繕に必要な2000万円だか3000万円を集められず、募金を募っています。外国語の案内表示は少なく、現地を案内するフリーの専属ガイドもほとんど見かけません。ゲームで言う所のPlanet Zooのような要素が書けていて、収益化も盛り上げもサポートも足りていないのが実態です。

 

タイのチェンマイなどは外国人観光客にべったり張り付いて観光地をトゥクトゥクで案内してくれるガイド役を運転手が担ってくれることもあります。1日総額1000THBとか払ったらめっちゃ喜んでやってくれますし、次の日にも待っててくれます。日本にはこういう専属ガイドみたいな役の担い手がいません。観光タクシーがギリギリカバーできるくらいです。法律の壁もありますので難しいところですが、やればいいのに…。

 

また、観光地の魅力を伝えるYouTuberや動画配信者が圧倒的に足りていません。片手で数えるほどしかおらず、その数少ない数名は英語ができていません。動画はあるのに英語翻訳が追いついておらず、観光資源の最適化ができていません。その代わり、県内のマイナーなラジオなどに出演するだけで、せっかくの外部へのPR資源が、県内向けのスピーカーとして食いつぶされちゃってます。

 

田舎 × 田舎のコラボは伸びない

地域活性化でよくあるのが、田舎と田舎、弱小と弱小のコラボ。表現は悪いですが、数字を持っていない、コンテンツや肩書きが足りていない者同士でつるんで、同じ県内の人間同士で騒いで終わりにしても、盛り上がったのは企画者(及び、その懐)だけであって、地域は盛り上がっていません。

 

需要がない分野と需要がない分野を合わせても

  • なんだそれ?
  • そういうのは求めてないけど…
  • 何の意味があるの?

というヒンヤリした視線を受けながら、ごく一部の人だけで盛り上がっておしまいです。居酒屋の飲み会企画と大差ありません。それで地域活性化は無理です。セミナーを開いてもまともに議題を消化できず、テキトーな話で終わって収穫ゼロ…なんてことも多すぎです。

 

最も大切な視点「ユーザーは何を求めているか」をちゃんと考えずに企画して、とりあえずなぁなぁで消化してしまう事が多いので、山梨は低迷するんです。誰に向けての企画なのかを明確にしないと、何をしても失敗します。口先では商店街の盛り上げをしたいと言いつつ、実態としては、交通の便が悪いところにおしゃれな空間やお店を作っただけで、それって運営者がやりたかった事業ができるテナント料の場所がそこだったってだけの話ですよね。実際利用者ほとんどいないじゃないですか…。

 

ユーザーを見ているのではなく、こじつけで「ユーザーにきっと求められているんだ、そうだ、そう言い聞かせよう」程度のリサーチで進んでいくケースが多いので、伸びないんです。人が集まらないので予約制になり、余計敷居が高くなって人が予約すらしなくなり、人が減っていくんです。

 

個人でできる地域活性化ってなに?

ここまで話を進めると、結局どれもかなり大きい規模で動かないといけないように思えるかもしれませんが、個人にできることもちゃんとあります。

  • 山梨の肩書きを背負ってSNSで有名になる
  • 山梨の飲食店や観光地訪問をブログやSNSに投稿する
  • 山梨の旅ログ動画をアップする
  • 山梨のおみやげを県外の友人に送り付ける
  • 空き家や空室に住む
  • 山梨県産の米と野菜を食べる&Vログに残す
  • 山梨のワインや日本酒を飲む&Vログに残す
  • 山梨の動画配信者を積極的に見る

山梨にいる100人のメディア関係者がそれぞれ山梨のことだけ情報発信するというだけでもかなりの進歩です。地方特化の話題はどこの地方でも数える程度しかなく、京都や大阪、東京と張り合えるからです。

 

県内の人同士で盛り上がって終わりにするのは活性化ではありません。外部につなげてPRにつながった時点で地域活性化の最初の一歩が踏み出せるんです。ここまで言っても、きっとあなたは自分で旅ログを始めようともしないし、山梨の動画配信者を探そうともしません。めんどくさいし、時間がないですもんね。それが地域活性化が進まない理由です。

 

自分にメリットがないから。

 

自分がやる責任もないから。

 

外部とのつながりをたくさん作る、山梨県内のことをVログでもブログでもSNSでもいいのでたくさん残すのが何より大切な基盤です。多くの人は情報発信でいうメディア活動の経験がないですが、SNSの更新やインフルエンサーの真似事、アカウントの取得と基盤づくりはできるはずです。山梨のためになにかしたいと思うなら、まずはSNSで山梨に関係ある人をフォローして、大切そうだと思う投稿を遠慮なくRT・シェアし、ばんばん応援しましょう。

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Posted by Genussmittel管理者